子供にも知っておいてほしい『年金』の基本
老後を支える『年金』というもの知る
加熱する自民党総裁選挙の争点の一つに『年金』問題が上がってきました。将来年金はもらえるのか?もらえるとしても受給開始年齢は遅らされるのか?少子高齢化により財源はどうする?と国民の不安が煽られて久しいと思います。私も不安が叫ばれ始めた頃は「まだまだそんな先のこと」と思っておりました。しかし、年齢を重ねるにつれ、収入や貯蓄を見ると関係ないでは済まんな、という気持ちが出始めると共に、そもそも年金について知らんことが多いなと思いました。
せっかく自民党総裁選挙でも争点となっているなら、せめて基本のキの字くらいは押さえておこうと思いますので、完結にまとめておきます。
報じられた「年金全額税方式」
年金の基礎へ行く前に、年金の何が今回の選挙の争点になっているかだけ確認しておきます。
発端となったのは河野太郎規制改革担当大臣の主張する、基礎年金部分の財源をすべて消費税で賄う「最低保障年金」という考え方です。基礎年金はいわゆる国民年金で、財源は保険料と税金で半分ずつ賄われています。保険料は会社員なら源泉徴収で、自営業なら納付書が届き、自分で支払っているものです。これを全額消費税にすれば会社員からすると給料からの天引きが少なくなるわけです。ただし、その部分に消費税を当てるわけですから、消費税増税は避けられません。所得に対する逆進性がある消費税増税は低所得であるほど苦しくなります。
そんな財源確保の増税やら何やらはさておき、今回はここで出てきた「基礎年金」や「年金財源」など年金の基礎を押さえて上記のようなニュースを読めるようになる、をテーマにしていきたいと思います。
年金の仕組み
一口に年金といっても、その種類は様々あります。中でも私たちがよく話題にしているのは「公的年金」と呼ばれる以下の3つです。それぞれの概要は以下の通り。
補足として、国民年金の第3号被保険者について例をあげると、私は会社で厚生年金をかけており、源泉徴収にて保険料を納付しておりますが、パート勤務で年間収入が130万円未満の妻は年金保険料を直接納付しておりません。妻が将来受け取る基礎年金の財源は私が加入する厚生年金が一括負担する、といった内容になっています。
ただし、仮に妻のパート収入が年間130万円以上に増えると、健康保険の扶養から外れてしまい、第1号被保険者となり、年金保険料の直接納付が発生します。「130万円」の壁とよく言われますが、収入をここに抑えるメリットは大きいわけです。
「2階建て」の年金制度
日本の年金制度は「2階建て」になっているという話は耳にすることがあると思います。上記のように保険料納付の義務がある国民年金はすべての国民が将来受け取れる年金です。また厚生年金は会社に勤め、保険料を納付した人が受け取れる年金です。つまり、厚生年金をかけた人は、国民年金と厚生年金の両方が受け取れることになり、国民年金を1階、厚生年金を2階と表現しているわけです。
つまり農業従事者や自営業者などの第1号被保険者や扶養内にいる配偶者である第3号被保険者の年金受取額に比べると、厚生年金や共済年金の上乗せがある第2号被保険者は多く受け取れる仕組みです。本来は第1号被保険者が個人で加入できる確定拠出型年金(iDeCo)など、3階部分とされる年金がありますが今回は割愛です。
年金はいつから受け取れる?
年金は定年退職後に受け取るもの、という認識の方は多いと思います。これはいくつかある年金の受給要件のうち「老齢年金」に当たるものです。老齢基礎年金の受給要件は…
保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます(日本年金機構HPより引用)。
受給資格期間とは保険料を納めた期間、または加入していた期間などの合計です。これが10年以上であれば受給資格があるということになります。
保険料免除期間は保険料が免除されていた期間です。自動的に免除される法廷免除と本人の申請による申請免除があり、前者は障害年金や生活保護を受けている場合など、後者は収入のない学生である期間などに適用されます。ちなみに申請免除期間が終わった後は免除されていた期間の保険料を以後の納付額に分割上乗せして納付できます。この納付をしておかなければ、将来満額の年金を受け取れなくなってしまうので、申請していた学生の方は注意しましょう。
老齢厚生年金については老齢基礎年金の受給要件を満たしていれば、65歳から受給できます。特例として「特別支給の老齢厚生年金」という制度がありますが、私の年齢では関係なさそうなので割愛です(詳しくは日本年金機構のHP参照)。
また受給年齢は原則65歳ですが、60歳から減額された年金の繰り上げ受給や、逆に66歳~70歳までの希望する年齢から増額された年金の繰り下げ受給を請求できます。どうやったら一番得をするのか、考えて選べるのはいいですけど、こればかりは正解がないと思いますね。
年金はいくら貰える?
年金受給額については基礎年金、厚生年金とも受取額の計算方法が日本年金機構のHPに記載されておりますので、そちらを参考にしてください。ちなみに基礎年金の満額受給額は令和3年4月分から
780,900円
となっております。
年金は老後の「保険」
年金について、ざっくりと自分たちに関わりの深い部分の基礎を調べてみました。よく年金は”貯蓄”なのか”保険”なのか”投資”なのかといった議論が湧きますが、年金はいわずもがな”保険”です。老後に収入がなくなるという”リスク”に対して掛ける保険であるというのが年金の本質です。
生命保険や医療保険など個人で加入する場合にも、その商品の契約内容や補償内容、支払い保険料など吟味して購入している方が多いと思います。なので老後の保険である年金についても、しっかりと基本を押さえて、仕組みを知っておくことは保険料を納付する側として必須の知識であると思います。
今後も年金については自分の将来の生活に直結する事柄ですので、注意してニュースを見て、備えていきたいと考えています。