子供へ伝える「一塾」

世の中のわからないことを学ぶ。あと読書とか子育てとか。

親が言ってはいけない『勉強しなさい』

子供にはやはり勉強してほしい

 我が子も今年から小学1年生となり、宿題など家庭学習をしている姿を目にすることも増えました。学歴に関してはまさに中の中である我々夫婦は社会にでて如何に勉強することが大切であったか、親が言う「勉強しなさい」が生きるうえでどれほど的を射た発言だったのか、身に染みて理解しました。すると当然ながら子供にも勉強してほしい。なので言うわけです、「勉強しなさい」と。でも子供の反応は当然、昔の我々と同じもので、勉強よりも遊びに意識が行き、結果勉強する時間が苦痛になる。宿題するにしても親子で言い合いながらやることはやるものの、学習しているというよりはタスクを処理しているだけのような状態に。このままではいかんなぁと少し勉強することと親の役割について、以下の本を参考にしてみました。

『「東大に入る子」が実践する勉強の真実』

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 著 木村達也

 著者の木村達也さんについては以下の通りです。

 日本の作家。元英語教師。清風学園中学校・高等学校、関西学院大学出身。駿台予備学校英語科講師を経て西大和学園中学校・高等学校の英語科教諭、灘中学校・高等学校の英語科教諭・教科主任・学年主任を歴任。関西学院大学フェロー。一般社団法人ふくしま学びのネットワーク進学アドバイザー、おきなわ学びのネットワーク理事(出典:Wikipedia)。英語教員を育てる取り組みや、Youtubeチャンネルの運営などもされて広く教育に携わっている方のようです。

勉強を「する」子供と「しない」子供

 まず勉強という行為について大きく解釈することが大切です。学校で習う国語や算数はいわずもがなですが、例えば学校の勉強には興味を示さないけど、昆虫好きで虫について調べている、宇宙が好きで宇宙空間や星について調べている、スポーツなら野球やサッカーの練習を一生懸命にしているなど、こういった活動も勉強であり、取り組んでいる子供は勉強を「する」子供だと言えます。その原動力はやはり、「好き」であり「自分はこうなりたい」という強い気持ちです。この主体的な気持ちのあるなしが「する子」と「しない子」を分ける要素になります。

「勉強する子」に親がしてあげられること

 まず親が子供と一緒に勉強してあげることです。子供が幼稚園や小学生であれば、一緒に机に向かって考えたり、アドバイスをしたりして短時間でも付き合ってあげることが大切です。徐々にですが、親と一緒に勉強する時間が子供にとってうれしい、楽しい時間になっていきます。

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「努力する環境を作る」ことが親の役割

 努力する環境、勉強する環境が整っていれば、そこで勉強をするかしないかは本人次第です。親のしてあげられることは「環境を作る」ことです。例えば、
 
 ・幼いうちにスマホやゲーム機を与える
 ・自宅に本がない
 ・リラックスして生活ができない

などの勉強をしたくてもできない環境要因を作り出すのも排除するのも親次第です。

「読む力」を育てる

 勉強の土台は「読む」ことにあります。受験など学校の勉強もそうですが、むしろ社会に出たあとに読む力がないと苦労する場面が多いです。そして読む力を鍛えるものは「読書」で、親として我が子に本を読む子になってほしいと思っている人は少なくないと思います。ただ、本を読みなさいといって読むようになる子供はそうはいないと思います。実際、我が家でも読書を進めますが、その時はしぶしぶ読み始めるものの、継続することはありません。なので、どのように工夫するか。
 まず第一に自宅に本がある、もっといえば手の届くところに本があるという状況を作ることです。リビングや子供の遊ぶ場所に本棚がないのであれば、本棚を購入するところから始めます。本が手の届くところにある環境ができたら、次は親が本を読んでいる姿を見せることです。さらにその本を子供と共有するとなお良いとのことです。つまり読む本の内容は子供の成長に合わせていくことも大切です。逆に子供が読んでいる本を親が読んでみるのもいいのではないでしょうか。
 親が読書をする家庭の子供が必ず読書をするようになるというわけではありません。しかし、読書をしない親の子供が読書をするようになるよりも可能性は高いと思いますし、それはつまり読書ができる環境になっている、勉強ができる環境ができていることに間違いないと思います。

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良くも悪くも子供は親を見ている

 著者がボランティアで行っている保護者向けの勉強会でのエピソードがあります。参加者からの質問時間に「子供が勉強しません。いくら勉強しなさいといってもやらない。」と訴える親がいました。木村先生は「勉強しなさいと言わない方が良い」ということを噛んで含めてはなし、そのあとに「あなたはどういう勉強をしておられるんですか?」とその親に問いかけました。その親は呆気にとられた表情をして固まったそうで、木村先生はさらに「周囲の大人が勉強していないのに、子供が勉強すると思いますか?」と言いました。するとその親は恥ずかしそうにうなずいたそうです。
 子供が勉強しない、言っても聞かないという親は私も含め、周りにもたくさんいます。そしてその中に普段から何か勉強している親は一体何人いるでしょうか。私も思い返せば、テレビを見たりスマホをいじったりしながらも子供に対して「宿題したの?」とか「たまには読書したら?」なんて言いますが、その時の私の姿を見て子供が行動を起こさないのは当然だなと、今反省しきりです。親が作る「勉強できる環境」というものには当然ながら「親の行動」も含まれています。親が子供にしてあげられる最大の仕事は、「努力している姿を見せる」ことでしょうか。

まとめ

勉強の解釈と勉強する子になる要因

 勉強とは前述の通り、何も学校でならう教科だけではないと認識しておくことです。遊びの中で興味を持って主体的に取り組んでいることやスポーツの練習もその中には含まれており、その原動力は「自分はこうなりたい」という気持ちです。勉強してほしいと願う親であれば、興味の対象を一緒に探すため色んな体験をさせてあげたり、今夢中になっていることに親も興味を持ち、その時間を共有することが大切です。勉強しなさいなどの一方的な押し付けは、子供のやる気を削ぐだけで何の効果もありません。

努力できる環境を作る

 親は子供の変わりに受験することも就職活動することもできません。親ができることは、子供が努力するための環境を作ることのみです。読む力を育てるためには、新聞を購読する、リビングなど長い時間を過ごす場所に本棚を設置して本を置くなど、読む環境を作る。勉強させたいのであれば、スマホやゲーム機を遠ざける、そもそも買い与えない、リラックスした家庭環境を作る努力をするといったことです。それに加えて、親自身が勉強や読書をする姿を見せる、子供がしている勉強に付き合ってその時間を共有するといった行動も環境要因の一つです。
 また家庭環境において、家族間のコミュニケーションは大切な要素です。親子の壁がない、つまり円滑にコミュニケーションがとれている家庭のお子さんは成績がそれなりに良い傾向があると書かれています。「会話ができる空間」を家庭内に作ることも子供の主体的な学習姿勢に繋がっているとのことです。

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 ここでは書籍の内容を「子供が勉強するために親がしてあげられること」について内容を抜き出して紹介しました。内容はほんの一部で、他にも超難関校の生徒の実情や、勉強についての実践方法、また先生自身の生徒とのエピソードが内容に沿って節の間に書かれています。親の目線だけでなく、中高生くらいの年代にも学びが多い一冊になっていますので、ぜひその世代の子には読んでほしい本です。